H28年7月 将棋と人工知能
2016年7月21日
管理薬剤師 佐藤徹也

将棋に多少たしなみがあります。小学校でブームになった時期に覚え込みました。今ではほとんど指すことはありませんが日曜午前の対局番組はささやかな楽しみでもあります。将棋と並んで人気の囲碁には疎いですが、井山名人が7冠を達成したことが大きな話題となり特集再編集番組が放送されました。

その一方で3月には囲碁のソフト(人工知能)が5番勝負で世界最強棋士の一人を4勝1敗で破ったことが驚きをもって報じられています。プロ棋士に勝つにはまだ10年かかるだろう、などの人間優位の事前予想が圧倒的だったようです。その一か月後、将棋界でも第一期電王戦という将棋ソフトとトップ棋士との2番勝負でソフトが2連勝しました。将棋においてはソフトがプロ棋士に勝つことはこれまでもあったのですが、今回の内容を知って衝撃を受けました。将棋ソフト「ポナンザ」が定跡にとらわれない独自の手を指せるようになったというのです。人間の感覚では思いつかない手を連発し、検討するプロ棋士達を驚かせました。その具体的な差し手がいくつか記事に紹介されていました。ひらめきや読み、大局観という人間ならではの領域でもソフトが勝ったという見方もでき、更に心の揺れというものがない強みもある。まさに、何ということでしょう、のフレーズがぴったり、末恐ろしくさえ感じました。

勿論人工知能は一般社会に貢献するものとして研究が進められていて、活用される分野も増えてくるのでしょう。しかし極端かもしれませんが、ある時ソフトが暴走して人間を脅かすというSF映画のような展開もひょっとして‥・、と思えてきます。人間が生み出したものに人間が飲み込まれるという事態の無きように。

将棋においても、人間と人工知能とは単に対峙する関係ではなく、対峙しつつも共に発展する関係であって欲しいです。

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